華奢なUちゃんに連れられて、竹橋→九段下→銀座へ。
竹橋側から北の丸公園に入り、しばし散策。涼しく心地よい風を受けつつ、緑の匂いを二人で満喫。
九段下側にある武道館の前に辿り着くと、武道館の中から日本人じゃない人たちの歌声と演奏が聞えて来る。
「誰だろう?有名人?それともアマチュア?リハーサルしてるのか?」等々、興味津々、ちょっぴり胸をワクワクさせながら暫し足を止めて耳を澄ます。武道館の周りには関係者・係員っぽい人影の他、Uちゃんと私のように音楽が漏れ聞えてくる武道館を見上げている人たちが複数名。しかしその数は50人にも満たないくらい。有名人のライブリハーサルだ!と判断するには、程遠い疎らな人だかりだった。
気になりつつも誰かに訊くまでには至らず、綿アメぐらいの軽さの疑問を残してUちゃんと二人再び公園の緑の中へ。
武道館を背にして右側の木々の間を少し歩くと、その先に憩いの芝生広場がある。親子連れ、カップル、シングル、友人、仲間内など、それぞれが木陰の近くにビニールシートを敷いて、思い思いに寛いでいる。
快晴で最高気温が30度前後なのに、ここは鬱蒼とした緑のお陰でそれほどの暑さを感じない。車の騒音はなく、聞えてくるのは風の音や風で揺れる枝葉の音であったり、鳥の羽音や鳴き声。そしてそこにいる人々の、存在音。
この日、芝生広場でシャボン玉を作って飛ばしまくる方々に、たまたま遭遇した。
シャボン玉というと、ストローにシャボン液をつけてフ~!というヤツを思い浮かべるけれど、そんな可愛らしい手法ではなっかったし、かつ大きさも半端じゃないのが浮いていたりした。例えばサッカーボールほどのシャボン玉や、よくダイエットで使われているバランスボールぐらいのシャボン玉など…。
どうやって作っていたのかというと…
長さ1メートルほどの棒を1本ずつ手に持ち、棒の先に結び付けた紐をシャボン液に浸す。それを頭上に掲げて両手を肩幅くらいに広げると、その紐が三角形になるように結び付けられている。そこに風が吹き込み、シャボン玉ができる。三角形の紐を開閉することによって、風のあたり具合を調節。
シャボン玉を作っている方々の前には、主に子供たちが群がって(たまに無邪気な大人の方も…)、そのシャボン玉を追いかけて掴んで(…というか割って)楽しんでいた光景が非常に微笑ましかった。
そんな光景をカメラに収めたり、風で自分の方に流されてきたシャボン玉に手を伸ばし、笑顔を零しているUちゃんの姿もまた可愛らしく、彼女の無邪気さを感じさせた。そんなUちゃんの無邪気さが少しばかり羨ましいと思った。時間の流れが気にならなかった。
ひとしきりシャボン玉を堪能したあと、九段下駅に向かうことに。
芝生広場に来た道を逆戻り。武道館の前までくると、先程とは打って変わって人の波。正面玄関付近から始まって、武道館脇の道のほうまで尋常ならぬ人の数。「やっぱり今日はライブがあるんだね」とUちゃんと顔を見合わせる。
上下スーツ姿の男性関係者が「歩道に2列で並んでください。道路に出ないでくださーい」と、じわじわと膨れ上がっている入場者の列に呼び掛けている。その男性関係者の横を通り過ぎ、人並みに逆らって、武道館の脇(田安門寄りの、当日チケット券売場に面した方)に進んだとき、建物の側面に掲げられた畳一畳分の看板が視界に入る。
「MR.BIG」
でかでかと書かれた文字。その横にはグループメンバーの名前。
足を止め、興奮する気持ちを抑えつつ「あっ、ミスタービッグだ!」と私は口走った。そして自分の左手が、無意識にUちゃんの右腕を掴んでいた…。右腕を引っ張られた形になったUちゃんも足を止め、「オイオイオイ」という感じで苦笑い。「へぇ、そうなの。好きなの?」と私に質問を投げる。
ええ、そうなんです。好きなんです、私。
全曲知っているわけでもなく、リアルタイムで聴いていたわけでもない。
グループのプロフィールは知ってるのかというと、全然知りません。
アルバム名も覚えていない、似非ファンなのかもしれません。
ただ、この歌、「To Be With You」が大好きなんです。
エリック・マーティンの声と、ギターが奏でるメロディが、耳に残って離れない。
・・・なんて長々と答えるのも何だったので、「うん、好き!」とだけ私は答えた。
緑もシャボン玉もはしゃぐ子供たちの光景もUちゃんの無邪気さも、いい。
そして、歌も、いい。

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