「文学部唯野教授」筒井康隆著(岩波書店、1992年3月初版)。
文学理論の本をヒントに書かれたというこの小説。
目次だけ見ると、何やら難解そうでクラッとくる。
主人公は文学部英米文学科教授の唯野教授。
実は大学に内緒で、雑誌に小説を発表しているという作家の顔も持つ彼。
彼が大学で文芸批評論の講義を行う様子と、大学の人間関係の日常が描かれ、
そしてそんな日常のちょっとした繋がりの中で終には彼の秘密が暴かれてしまう、といった内容。
私自身の文芸批評論への理解はともかく、唯野教授の講義、その滑らかな喋りっぷりはとても魅力的だ。
単なる知識の羅列ではなく、テーマに沿って凝縮されたと思われる講義内容。
次から次へと外国人の作家名や哲学者・批評家の名前などが飛び出し、
彼らの主張に加えてその類似点の指摘など、比喩を交えて快刀乱麻していく様は圧巻だ。
こんな教授の講義なら飽きない気がする。
講義とは別に展開される大学の日常…教授たちの日常やら現場のシステムのようなもの…も
実際に現場を知る人間でなければわからぬようなことが描かれており、こちらも楽しめた。
楽しめたというか、偉い・賢いと思われている人でも、人格は様々なのだなぁと改めて思ふ…。
目次
第1講 印象批評
第2講 新批評
第3講 ロシア・フォルマリズム
第4講 現象学
第5講 解釈学
第6講 受容理論
第7講 記号論
第8講 構造主義
第9講 ポスト構造主義
これらを勉強するのに、人の名前覚えるだけでも大変そうだ。

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